「照らされた闇」2007年6月13日(水)

ウイークリー瞑想

 先週末にポートランドの日本人教会(横井宏明牧師)の聖書塾での講義に行ってきました。自分を振り返り、人生を振り返ることができるようなものということで、「魂の暗夜心の闇を見つめ、闇のなかで神に出会うために」というテーマで学びをいたしました。今回はすでに塾を卒業され教会で奉仕をされているご夫妻で、ポートランドから東に1時間ほどドライブをしたところで果樹園を持たれているお宅での授業となりました。なし畑を見ながら20名の受講生とともに「闇」について学びました。

このテーマは4月の日本での奉仕でもいくつかのセミナーでも取り上げました。闇について語ることができるのだろうかと不安もありました。しかし取り上げ、語ることができることで、すでに闇が光の下に出されていることが分かります。このテーマで最初のセミナーをした山形で、「闇のイメージ」について分かち合いました。「闇」と聞いて自分のなかに持っているイメージです。ある男性は親に叱られて夜、家の外の木に縛られて、怖くて泣いていたイメージを語ってくれました。ある夫人は弟さんの発病のことを語ってくれました。

聖書塾ではすでに何度か授業を持たしていただきました。学びをして奉仕に就かれる方たちです。自分の闇を見つめ、闇の底に降りていくことで、人の闇を取り扱う務めをいただいています。そしてなりよりプロテスタント福音派ではあまり取り上げてことがないので、どこかで一度は自分の闇にしっかりと向き合うことができればと言う思いをいただいてこのテーマを選びました。

その思いを伝えて、ひとりひとりの「闇のイメージ」について聞いてみました。戸惑いがありながら自分の心の深くを見つめていることが分かります。結婚生活の失敗、小さいときに神社のほこらのなかで寝かされたこと、朝鮮戦争の時に見た死体の山、アメリカに渡ったときの将来の不安、瀬戸内海の海の底の暗やみ、父親の酒乱のこと、満州から引き上げてくるときに何日も閉じこめられた貨物車のなか、父が亡くなったとき、骨と皮のような姿で生まれた双子の妹こと、中学の時に自分の部屋から一歩も出なかったときのこと、高校の時に盲腸で死にそうになったときのこと、仕事で鬱になったときのこと、母が病気であったことで小学3年生の時の記憶がないこと、大学4年生の時に人生の目標が分からなくて雨戸を閉めて1ヶ月間閉じこもったときのこと、宇宙で右も左も上も下も分からなくてひとりでいるイメージ、父親の暴力。

出てきた内容はまさに暗いことで、どこにも救いのないことです。思い出したくもないことです。じっと闇の底にしまっておきたいことです。そんなことはなかったかのように忘れておきたいことです。でも言ってくださっている受講生の顔は輝いているのです。また互いの闇のイメージを聞きながら、お互いをしっかりと受け止めているのです。その場が明るいのです。光に照らされているのです。

闇は闇なので言葉で言い表すことができません。それでもいつも付きまとっています。前に進みたいのですがいつも闇のなかに引き戻されてしまいます。何かの拍子に闇の底に落とされてしまいます。いまそれをイメージででも言い表すことで光をいただくことができます。光を届けることができます。光が心の深くに入っているのです。闇が光に照らされているのです。

秋田で4名の牧師と一緒に闇について思い巡らしました。そのひとりの方が、闇を取り上げる意味を次のようにまとめてくれました。こちらの言い切れないところを明確にしてくれました。

「上沼さんは繰り返し『闇に入っていくことができるのは、光の存在を信じるからだ。』『光が差し込んでくるから、闇の底を見つめることができる。』と語ります。神から遠く隔たった闇について語っていながら、実はまさに今ここにおられる神、光の神について語っているのです。『光がある。』との主張は、楽観的にすら思えるほどの強い確信として述べられています。そして、それは逆の表現を採るならば、『闇を直視できないのは、光の存在を信じていないから』と言えるはずです。

 私は、これが今日の教会に対するひとつの挑戦だと感じています。福音が人々を根底から変革する力になっていない。福音理解が表面的で、心の深い所まで届いていない。『古い人』が全く変えられていない。その理由は自分の内にある闇の存在を認めないことにあるのではないでしょうか。そして、闇の存在を認めることができないのは、光の存在、神の恵みのわざを充分に受け止めていないことを示している、言い換えれば、結局のところ『信仰がない』ということに行き着いてしまうように思うのです。」

 

上沼昌雄記

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