「マザー・テレサ:信仰の暗夜」2007年9月2日(日)

ウイークリー瞑想

    先週発売された雑誌『タイム』(9月3日付)の表紙は、10年前に召されたマザー・テレサになっていました。あのダイアナ妃が亡くなられたのも10年前のこの時期です。「マザー・テレサの隠された生」とタイトルが付いています。一本の太いブルーと二本の細いブルーのベールに包まれ、しわだらけの、化粧の全くない、深い淵から出てきたような顔が載っています。端正でチャーミングなダイアナ妃の写真も小さく載っています。何とも対照的なふたりの顔です。ふたりが一緒の時の写真を見たこともあります。

これは、10年を契機に彼女の残した手紙がMother Threasa: Come Be My Lightというタイトルで9月4日付で出版されることになっているからです。その本がすでにメディア用に流布されていて『タイム』が取り上げているのです。8ページの写真入りで「マザー・テレサの苦悩」というタイトルでまとめられています。ジャーナリスティックなトピックなので、次女の泉が仕事をしているワシントンポスト紙の電子版の宗教欄でも取り上げていて、泉を通して『タイム』の記事を知ることになりました。

インドでの死に行く人たちへの働きで世界的に知られ、ノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサの、信仰の苦悩を書いた手紙が公刊されることになったのです。それはただ信仰が大変だというものを越えた、半世紀に渡る彼女の心の苦悩、神の臨在感の喪失、自己への絶望、見放された孤独感、渇ききった心が、隠さないで、まさにそのまま書かれているのです。自分の書いたものはすべて破棄されるようにとも書いてあるのですが、教会当局がそれを差し止めたと言うことです。

「どこに私の信仰はあるのだろうか。心の深いところ、そこには何もなく、空虚と闇のみです。わが父よ、この底知れない痛みは耐えることができません。、、、」「父よ、教えてください。どうして私のたましいはそれほどの痛みと暗やみのなかにあるのでしょう。」マザー・テレサは霊的指導者に心の深いうめきを隠さないで書いています。ノーベル平和賞をいただく3ヶ月前にも、沈黙と空虚さに打ちのめされている心を書いています。「見上げても見ることができず、耳を傾けても何も聞こえません。」

かつてヘンリー・ナウエンの『イエスの御名で』が私たちの間でも流布されました。霊的な気づきを多くいただくことができました。同時にナウエンの心の苦悩も聞くことができました。そのことのゆえにとまで言えるほど、キリストとの一体感を求めていることが分かります。ナウエンに親しみを覚えました。マザー・テレサに場合はそんな迷いはなく、すっきりとキリストと一つになっているような感じを持っていました。男性の霊性と女性の霊性の違いのように思い、そのように話してきたこともあります。しかし今回、マザー・テレサも同じように、もしかするとそれ以上に苦悩していた面があることを知ることになり、安心したところもあります。病的な面もあったのではないかと、妻は言います。

喪失感、空虚さ、暗やみ、何かその対比で、臨在感、満たし、光をしっかりと捉えていたのではないかと想像しています。自分はその境界線の上でちょとだけ上にいったり下に行ったりしているだけでに過ぎないのではないかと思わされます。マザー・テレサははばからずに言っているようです。「誰にも愛されたことがないほどにイエスよ、あなたと愛したい。」彼女なかですっきりと向こうに行っている面と、行けないで苦悩している面が浮かび上がってきたかのようです。

それ以上は本を手にして確認する以外にありません。ただマザー・テレサの人と信仰についての研究が本格的になされていくことと思います。また私たちにもとても深い慰めを与えてくれるように思います。同時にカトリックの霊性が浮き彫りにされてくるのかも知れません。その対比で私たちの霊性を考える手立てにもなるかも知れません。

イエスの身代わりのようにカルカッタの死に行く人たちのところに出ていったマザー・テレサ、心のなかで空虚さ、絶望感、喪失感、暗やみで苦しんでいるマザー・テレサ、『タイム』の写真で、しっかりと目を向けている眼差しと、深く刻まれたしわのひとつひとつが、信仰の厳しさと深みを語っているようです。

 

上沼昌雄記

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中