「肉のからだ・霊のからだ」2007年12月17日(月)

神学モノローグ

    御子が肉をとられた、肉になられた、すなわち、キリストの受肉、それがクリスマスの事実である。肉を持つすべてのもの、人間も被造物も、造られたものすべてのものへの神の配慮である。天にあるものも、地にあるものも、肉を持つすべてのもの、万物の救いのためである。

肉を持っていることを少なくとも自覚しているのは、私たち人間である。肉を持ってすでに生きている。その事実に避けることができないように直面している。自分で選び取ったわけでない。この身体、この顔を持って生きている。もし選択の余地があるとしたら、決められないで時は永久に無為に経ってしまう。そんな詭弁は許されない。すでに肉を持って生きている。自分の肉を、善し悪し関係なしに受け止めなければならない。おぞましい事実である。自分の肉が自分にとっての重荷である。

パウロはこの事実を、肉(サルクス)とからだ(ソーマ)を結びつけて「肉のからだ」(1コリント15:44直訳)という。受肉と言い表す時は、間違うことなくそれは「肉」(サルクス)である。教会のことを「キリストのからだ」と言い表す時は、間違うことなく「からだ」(ソーマ)である。そのサルクスとソーマが結びつけられて、いま肉を持って生きているこの私の事実を「肉のからだ」という。

いまクリスマスは、この「肉のからだ」の事実をしっかりと受け止めることを勧める。肉のからだを持ってしっかり生きる責任を教える。それは、肉のからだの向こうに、はるか彼方に「霊のからだ」(1コリント15:44脚注)をみているからである。おぞましい肉のからだを脱ぎ捨てて、うるわしい霊のからだに預かることを望みみているからである。切なる望みとして渇望しているからである。その望みで生きているからである。キリストの復活による霊のからだである。霊肉二元論ではない。からだ一元論である。

パウロは第2コリント書5章の初めで「地上の幕屋」と「天からの住まい」という別の言い方でこの渇望を表現している。「私たちはこの幕屋にあってうめき、この天から与えられる住まいを着たいと望んでいます。」(2節)「肉のからだ」をもっているために避けられないうめきを聞き取っている。それはロマ書8章3節で受肉の事実と意味を語った後に、被造物のうめき、自分の心のうめき、御霊のうめきと続けて語っていることに連動している。パウロのうめきの連続音である。

うめきは、肉のからだの奥深くから湧き出てくる。肉の背後のさらにその裏からかすかなうめきが響いている。悲しい響きであり、どこに行くことのできない絶えることのない振動である。自分だけが聞き取るかすかなうめきである。夜に床で静まっている時に自分の心が聞き取る歌である。何かを失い、何かを損ない、何かで傷つき、何かを慕い求めている心の渇望である。決して満たされないうめきである。

肉のからだで生きることのおぞましさは、このうめきを聞くことである。アダム以来失い、損なったものを聞き届けなければならないおぞましさである。うめきがいまも肉のからだのどこかで絶えず響いている。避けられないことである。聞きたくないのに聞かなければならない。それはおぞましいことである。肉の欲求であり、肉の欲であり、肉の弱さであり、肉の痛みであり、肉の病であり、肉の死である。そんな肉を持って生きなければならない存在のおぞましさである。死の恐怖と存在のおぞましさである。

いまこの死の恐怖と存在のおぞましさのなかでうめきながら、「霊のからだ」、「天からの住まい」を着ることを渇望している。それは、肉のからだにある限り着ることのできない。肉のからだの彼方で着たいと切に願っているものである。いまだ味わったこともないからだである。ただはるかに望みいていることである。

ダビデは詩篇26篇4節で詠っている。「私は一つのことを主に願った。私はそれを求めている。私のいのちの日の限り、主の家に住むことを。主の麗しさを仰ぎ見、その宮で、思いにふける、そのために。」ダビデも肉を持つものとしてのうめきを聞いていた。どうにもならない肉の思いに引き裂かれたダビデのうめきである。うめきを聞きながら、はるか彼方にある麗しさを慕い求めている。

キリストの受肉としてのクリスマスは、はるか先に、はるか彼方にある救いの成就を的としている。肉を持つすべてのうめきを聞き届けるために、キリストも同じ肉をとられた。肉にあって罪を処罰し、肉を持つものを「霊のからだ」として「天の住まい」に招くためである。クリスマスの祝いは、この救いの始まりの喜びである。はるか先を、はるか彼方を的にしながら、御子は肉となって私たちの間に来て、住んでくださった。私たちもいまはるか先を、はるか彼方を的として望み見ている。渇望している。信仰の初めである。クリスマスである。

 

上沼昌雄記

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