「戦争と教会」2008年5月5日(月)

神学モノローグ

 「書籍『ナチからの脱出』を読む」と言う記事を2月27日付で書い
た。著者であるブライアン・リッグ氏と会うことができた。義樹の引っ
越しの手伝いでダラスに行ったときに、自宅に招いてくれてしばしの歓
談の時をいただいた。いまは研究分野から離れてビジネスに関わってい
るが、人を惹きつける魅力を抱えた人物である。3人のお子さんの父で
もある。

 歴史が専門なので、夕食のテーブルで日本の教会のことを聞いてき
た。それで戦争の時の日本の教会のとった姿勢のゆえにいまだにその影
響を受けていることを話した。特に、日本軍の朝鮮半島への侵略で日本
の教会がそれを容認するようなことになったことで、戦後迫害を受けた
韓国の教会が成長し、迫害に加わった日本の教会が低迷していることを
話した。それに対してそれは、ボンヘッハーやわずかな例外はあるが、
ナチスとホロコストに荷担したドイツの教会も同じで、いまでは死んで
いると結構はっきりと言われた。余りにも明確に言われたので驚いたの
と同時に、言われてみたら、私はドイツの教会を見たことがないのであ
るが、そうなのかも知れないと思わされた。

 夕食のあとの語らいで、『ヒトラーのユダヤ系兵士』『ナチからの脱
出』を書くに至った経緯を聞いてみた。イエール大学、ケンブリッジ大
学の歴史学の教授たちは文献からはヒトラーのユダヤ系兵士は存在して
いる証拠がないから、その分野の研究は無理だと言われた。しかし、自
分の先祖がユダヤ人であったことを知るにいたって、ひとりふたりと糸
を辿るように戦争時にヒトラーのユダヤ系兵士であった人とのインタ
ビューが始まった。それから本に書いていない裏話を語ってくれた。彼
は見事なストーリー・テラーでもある。

 しかしそのストーリーは戦後50年以上経って初めて語ることがで
き、その家族も初めて聞く物語であった。同時にいやしをともなうもの
であった。ある方は同僚の同じ街の出身の友人のユダヤ系兵士が負傷を
して両足もなくなってしまい、助かる見込みがないので自分を殺してく
れと頼んだ。それでその方が銃を発射した。その同僚の名前を息子さん
に付けた。しかし毎晩のようにうなされてその同僚の名前を叫んでい
た。ただ話したことで心の安らぎをいただいた。その息子さんは自分の
名前がどこから来ているのかを初めて知った。

 リッグ氏の奥様もドイツ語が話せるので、ドイツ人の交わりに行っ
て、その会話のなかにユダヤ人やユダヤ系の人がいると、会話がその場
でストップしてしまうと言われた。そしてその場でドイツ人がユダヤ人
に謝罪の意を表すという。彼女はすでに戦争は終わったことなので、そ
こまではしなくてもいいのではと言われた。それに対して義樹が、その
謝罪を明確にしていないので日本はいまだにアジアの諸国から敬遠され
ていると言った。どちらにしても戦争の重い影を負っている。6百万の
ユダ人を殺戮したドイツという国、アジアの諸国の人たちに、また沖縄
の人たちに戦争の時にしてきた日本、その影をいまでも負っていること
を知ることになる。

 聡明さとは、戦争が避けられないことを認めることであると、レヴィ
ナスは言う。レヴィナスは戦争捕虜であったが助かった。リッグ氏は、
それは究めてまれな例であったと言う。避けられない戦争であってもど
のように対処し、どのようにその責任を明確にしていくのかはいつでも
問われる。戦争という現実が存在の極限を提示していく。そこでの信仰
が当然問われる。問われないで流れに身を任せてしまったことで、信仰
の意味が闇に覆われたままになってしまっているなかにドイツと日本が
いる。その歴史のなかでの教会の責任は果てしなく続く。そのなかに置
かれていることを重く思う。 

上沼昌雄記

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“「戦争と教会」2008年5月5日(月)” への 1 件のフィードバック

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