「闇のなかで格闘をしてきました」2008年12月8日 (月)

ウイークリー瞑想
 ほぼ3ヶ月ぶりにお会いした荒井牧師が、お渡しした拙書『闇を住処 
とする私、やみを隠れ家とする神』を見ながら、呟くように、人生を振
り返るように、そしていつものように静かに「私は闇のなかでずっと格
闘をしてきました」と言われました。自らが創業者であるみくにレスト
ランの2号店で、いつものようにお昼をいただきながらの会話ですが、
最初の一言でした。どのような言葉が次に出てくるのか、どの方向に会
話が進んでいくのか、一種独特な期待と不安を与えてくれます。語り合
い自体が闇のなかでもがきながら、うめきながら出てくるかのようです。

 すでに午後1時を回っていましたが、不況知らずの賑わいです。会社
関係の人たちが昼の会合、商談に使っています。サクラメント近郊にす
でに6号店まで拡張しています。最近デンバーにもオープンしました。
この20年、みくにレストランの歩みを近くで見させていただきまし
た。すなわち、私たち家族が20年前にサクラメント郊外の山のなかに
日本から引っ越しをしてきて以来、荒井牧師とその家族の教会とみくに
レストランの苦闘を見させていただきました。

 死ぬほどの仕事をしながらも牧師としての使命は見失うことはありま
せん。むしろ当たり前のように最優先にしています。土曜の真夜中に仕
事が終わって、それからさらに寝ずに説教の準備をしていました。説教
をしながら眠りの世界に入っていったこともあるようなことを、息子さ
んが語ってくれました。ミニストリーの理事をしてくれていますので、
用事で伺っても戦場のようなキッチンで語り合ったこともあります。よ
く卵焼きを揚げていました。そうでありながら、何ものにも振り回され
ない視点を持たれています。その忙しさと煩わしさのなかで神を見上が
る視点は決してぶれることがないのです。驚くべき強靱さを内に秘めて
います。不思議な静けさ、荒井牧師のところだけ時間が止まって作り出
された日だまりのような静けさを醸し出しています。

 その静けさは、みくにレストランの品格になっています。だいぶ前に
一度だけ荒井牧師がウエイターをしていたのを見たことがあります。物
静かにお客さんに語りかける物腰は、勿体ないような優雅な雰囲気を醸
し出します。食べ物だけを食べに来ているのではなく、その雰囲気を楽
しみに来ているのだとお客さんを納得させます。すでにユニークな3人
の子どもさんたちに経営はバトンタッチされていますが、そんな創業者
としての品格は生きています。

 みくにレストランの特上ちらしをいただきながらの2時間近くも、ぶ
れることなく闇のテーマで会話が進んでいきます。「私に従う者は、決
してやみの中を歩むことがなく」(ヨハネ8:12)と言われている
が、それは闇を前提にしているからだと反省するかのように言います。
一条の光を信じているので、たとえ闇のなかにあっても、それは光りを
たよりに生きていることだと納得しているのです。

 それでも繰り返すように「私は闇のなかで格闘してきました」と言わ
れます。闇との格闘をじっと振り返るように言います。その厳しさを思
い起こすように言います。もう決してその闘いを繰り返したくないと自
分に言い聞かせるように言います。闇がすぐ後ろにあっていつでも覆い
被さってきそうな恐れを感じているように言います。

 同時にと言ったらよいのか、それとは逆にと言ったらよいのか、光り
をたよりに生きている信頼と希望が伝わってきます。一条の光がなけれ
ばとうてい生きられないという神への叫びのような信仰が伝わってきま
す。闇に覆われそうになってもずっと先に輝いている光をそれることな
く見ている眼差しを感じます。

 牧会されている教会、創業者として始めたレストラン経営がどのよう
になろうとも決してぶれることのない神への信頼が、表には見えなく隠
れているようであっても、したたかに生きています。闇との格闘の深さ
が信仰の深さとして生きています。その深さが、一人の信仰者としての
歩みのコントラストをとてつもなく豊かにしてことが分かります。

 心の深くに何かがしっくりと収まるような思いをいただきながら帰途
につきました。

 上沼昌雄記
広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中