「これが聖書?」2014年2月19日(水)

 妻と士師記を読んでいます。一昨日は9章でした。ギデオン 
が死んで後の出来事です。私が日本語で読んで、妻が英語で読みます。57 
節と長い箇所で、時々日本語と英語のニュアンスの違いがあって、 
読んだ後にすり合わせをしなければならないときがあります。今回 
はそれだけでなく、内容に関して、どうしてこんなことが起こるの 
か、どうしてこんなことを書く必要があるのか、訳の分からない戸 
惑いというか、ため息が出てきて、顔を見合わせました。

 ギデオンに70人の男の子がいて、さらにシェケムにいたそ 
ばめから生まれたアビメレクという男の子がいました。このアビメ 
レクがシェケムの民をそそのかして指導者としてのし上がっ 
て、70人の兄弟を殺してしまいます。ところがこの70 
人の末子ヨタムだけが隠れて生き残るのです。このヨタムがアビメ 
レクとシェケムの民にたとえを用いてのろいをかけるのです。そし 
てそののろい通りにシェケムの民も滅び、アビメレクも死んでいきます。

 ヨタムが用いたたとえも興味深く長いものですが、その通りに書 
かれています。そしてのろいが実現していくプロセスもそれなりに 
複雑なのですが、詳細に書かれていています。結局アビメレクが 
シェケムの民を殺し、アビメレク自身はといえば、ひとりの女が投 
げた挽き臼の上石で頭蓋骨が砕かれ、それではみっともないので、 
若者の介助で死んでいくのです。

 それは、神がわざわいの霊を送った(23節)ことの結果で 
あり、アビメレクが「兄弟70人を殺して、その父に行った悪 
を、彼に報いられた」(56節)からであり、さらに「シェケ 
ムの人々のすべての悪を彼らの頭上に報いられた」(57節) 
からなのです。

 その通りで、多分私たちの倫理からですと、タイトルを付けてい 
る聖書が語っているように、「アビメレクの過ち」ということで、 
教訓的な意味合いを取って終わってしまいます。しかし、それだけ 
ではどうも落ち着かないのです。それだけですと、それではどうし 
てギデオンは70人の子どもがいたのかという問いも出てきま 
す。記されているとおりに「彼には大勢の妻がいたからである。」 
(8章30節)その上でさらにシェケムのそばめからアビ 
メレクを生んでいるのです。どのように理解したらよいのか迷いま 
す。「ギデオンの過ち」とも言えるからです。

 しかし、聖書は単なる教訓的なことを教えるためだけで終わって 
いるわけでないだろうなと、記述を思い巡らしながら、ため息が出 
てきます。それだけでは終わらないで、何かがしっかりと記憶に組 
み込まれてくるものがあります。それが神の民の歩みであると、こ 
れでもかというかたちで語られていて、認めざるを得ないからで 
す。まさに神が何かを、神の民の記憶にしっかりと刻み込もうとし 
ているかのようです。

 キリストによって救いがもたらされたのは事実です。ただそれ以 
後の教会はその救われた理想的な世界を描き、それに何とか合わせ 
ようとします。言葉による観念の世界です。それに合わなくて疲れ 
てしまいます。またそこに教会の偽善性をみて、教会から離れてし 
まいます。

 ユダヤ人が自分たちを「書物の民」「記憶の民」と呼んでいると 
きに、そんな理想の世界に生きているのではなくて、自分たちの先 
祖が現実に歩んだ歩みをしっかりと記憶に刻んでいて、今でも現実 
に自分たちに起こりうることとして確認しているかのようです。書 
物に記され、記憶に刻まれていることは、それが先祖たちにとって 
現実であったように、自分たちにとっても現実として受け止め、生 
きています。

 聖書はきれい事の世界ではありません。神の民の現実を描いてい 
ます。神の民はクリスチャンにとってはまさに自分たちの先祖で 
す。その先祖の歩みがそのまま記されています。これでもかと思う 
ほど何度も記されています。「これが聖書?」と言いたくなりま 
す。そしてその通り、それが聖書なのです。そしてまさにそれゆえ 
に、変わることのない神の真実にただ唸らされます。

上沼昌雄記
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