「それが主によることだとは知らなかった」2014年3月 5日(水)

士師記を続いて読んでいます。記述されている内容通りに読んだ

ら、どのように捉えたらよいのかと惑わされる場面に直面します。
ダン族の家族に生まれたサムソンが、いきなりペリシテ人の女に心
が惹かれ、親の反対を押し切って、自分の妻にするのです。サムソ
ンの両親から見れば、割礼を受けていないペリシテ人の娘ですの
で、反対するのは当然です。そんなことは関係なくサムソンは突き
進みます。その時にサムソンの両親は「それが主によることだとは
知らなかった」(14章4節)と言うのです。

それではサムソンは知っていたのかというと、どうもそのような
素振りもありません。サムソンはただ自分の心の求めに従って行動
しています。サムソンの最後まで続きます。といってもその都度、
神の霊に動かされて行動しているように説明されています。それは
しかし、新約の私たちから見たらそんなことが許されるのかと思う
かたちで進んでいきます。結構女性が関わってくるのです。ふたり
のペリシテ人の女と、その間に遊女が登場します。

最初のペリシテ人の女には名前はないのですが、サムソンがペリ
シテ人にかけた謎の意味を、彼女の求めで明かしてしまいます。そ
れでサムソンは怒って父の家に帰っていきます。その間にサムソン
の妻は客のひとりの妻になります。それでサムソンはジャッカル
300匹を使ってペリシテ人の畑を焼いてしまいます。今度はペリシテ
人が怒ってこの女とその父を焼いてしまいます。

二番目の女にはデリラという名前があります。サムソンの力の秘
密を、また求めに応じて明かしてしまいます。髪の毛がそり落とさ
れて、力を失い、捕らえられ、目をえぐり出され、牢につながれま
す。しかし髪の毛が生えてきて、力が回復してきて、ペリシテ人が
祝宴をしているときに、寄りかかっていた柱を引き抜いて、民全体
とともにサムソンは自害するのです。

しかしこの間サムソンは20年間イスラエルをさばき、治め
ています。そのためにペリシテ人の支配を除く必要がありました。
そのためになされたというか、サムソンがなしたことです。その目
的は果たされました。しかしその方法はサムソンの両親は知るよし
もありませんでした。サムソン自身がそれを知っていたのかも分か
りません。むしろ自分の情動に動かされて行動をしたような感じで
す。しかもその都度神の霊に動かされたかのような書き方です。

振り返ってみると、このようなサムソンの行動から、これが神の
やり方でもあるというメッセージを聞くことも、語ることもなかっ
たように思います。チェーン式聖書ではこの箇所を「神はしばし
ば、人間のわがままや、かたくなな態度を通しても、ご自分の御旨
を行われることがある」と言っていますが、当然そうでない方が良
いという意味合いで言われています。ましてそれが神のやり方とは
考えていません。士師記自体が神にそむいた民への神の戒めのため
ととっています。それが新約の私たちへのメッセージと言います。
あたかも士師記で記されていることはそのためだけに起こったと見
ています。自分たちの歩みとは見ていません。

当然どのようなこともして良いという意味ではありません。ただ
神のわざがなされるときには、私たちの理解を超えたことが起こり
うるということです。私たちの納得のいくように説明しなおす必要
はないのです。神の民の物語は神の物語でもあります。神のなされ
たこと、神のなす事、それはすべて納得がいくわけではないので
す。むしろ納得がいかないで、どうしてなのかという問いを自分の
うちに抱えることです。その都度自分のなかで何かが断ち切られ
て、異なった次元で生かされることです。自分の意に反するかたち
で神が働かれていることを受け入れる ことです。

士師記を読んで「なぜ」という問いが深まります。それは神への
疑問ではありません。むしろ神のなされることへの理解の深まりで
す。判断停止を踏まえた上での神の領域への理解の広がりです。神
のなされることへの了解と参与です。自分の意に反しでも関わるこ
とのできる神の領域です。これが主によることだと、自分自身に言
い聞かせることです。

上沼昌雄記

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