「旅と責任と」2014年6月17日(火)

 5月15日から6月11日までの4週間 
日本で春の活動をしてきました。いつもは6週間滞在してきま 
したが、同じだけの内容を今回は4週間で済ませてきましたの 
で、休みなしに動いてきた感じです。最上川の脇で集会が始まり、関西に 
2度伺い、仙台と東京に立ち寄り、札幌にまで伸ばした足をさらに道 
東にまで伸ばし、深川に立ち寄り、最後は秋田で締めくくりまし 
た。帰りは、今回初めてでしたが、ソウル経由でサンフランシスコ 
に戻ってきました。

 戻ってきても時差で、起きてはいるのですがからだはまだ眠って 
いるような感じで、本を読んだり、活字を見たりしていると、睡魔 
に引き込まれる状態でした。自分がどこにいるのか分からない感じ 
でしたが、ようやく朝目が覚めて、日本で過ごした一ヶ月を振り返 
ることができるようになりました。

 礼拝と祈祷会での奉仕以外に、宇治での牧師セミナー、家庭集 
会、土曜のセミナー、日曜の午後のセミナー、2回の男性集会、夫 
婦セミナーと、多彩な集会を持つことができました。それらの中で 
一つ共通に語ってきたテーマがあります。それが「旅と責任と」で 
す。「旅」とは、アブラハムの旅です。「責任」とは、その旅で出 
会う出来事をしっかりと受け止めて、できるだけ責任を果たしてい 
くことです。

 アブラハムの旅とは、決して出てきたとことに戻ることない旅で 
す。約束の地、よりすぐれた故郷を求めて、旅だけが人生である生 
き方です。戻ってきたらそれは出てきたときの恵に戻るだけであっ 
て、よりすぐれたもの、約束の地には決して至ることはできないの 
です。約束は、アブラハムの子孫が満天の星のように増え広がるこ 
とです。しかもその約束には、神の契約のしるしが伴っています。

 出てきたところに戻る旅は、ギリシャ神話の旅です。出てきたと 
ころが最終的な安全地帯と思っているからです。ギリシャ哲学は、 
プラトンのイデアのように、観念のこととしてそのような安全地帯 
を築き上げてきました。2千年のヨーロッパのキリスト教はそのよ 
うな安全地帯を、教会を中心に築いてきました。この地には神の民 
がこれで大丈夫と思う住処はないのにもかかわらず、これで大丈夫 
と何度でも訴えてきました。安全地帯を築き、それに戻っていく旅 
であれば、ただ自己防衛が目的になります。そのためには暴力さえ 
是認することになります。そのようにして教会は争ってきました。

 しかし、決して戻ることのない旅であれば、初めから自己防衛は 
成り立ちません。アブラハムへの約束と契約で、すでに子孫が異国の地で 
400年奴隷として仕えることが預言されています。その後エジプトを 
出て、約束の地に入っても、またそこから出されてバビロンに捕ら 
えられます。さらにそこからエルサレムに戻ってきても、また離散 
の民として彷徨い続けます。不思議にそうすることで神の民は全世 
界に散らばっていきます。あたかもそれが神の戦略であるかのようです。

 そうだとすると神の民は、自分のうちにも留まっていることはで 
きません。当然自分のうちにも安全地帯はないのです。神の約束だ 
けがたよりです。旅は、自分の安全地帯を出ていくことです。出て 
いくとそこで思いがけないことに直面します。避けることができま 
せん。しっかりと受け止めるだけです。うまく行くかどうか保証は 
ありません。ただ受け止めることです。それが責任です。安全地帯 
に逃げることはできません。責任として受け止め、次の旅に出て行 
くのです。それは信仰でもあります。

 スコット・ペックの有名な本、The Road Less Traveled 
(邦訳『愛すること、生きること』)は、そのタイトルが示してい 
るのですが、その旅をする人は少ないと言うのです。精神医とし 
て、その旅を責任を持ってすることで人は初めて精神的に成長する 
と結論づけました。しかも彼は、それはイエスが取った旅と理解し 
て、本がベストセラーに後に信仰を持つことになりました。

 出ていくこと、それは恐怖が伴います。何が待ち受けているか分 
かりません。それでもそれが神の民の歩みであれば、神の約束と神 
の真実さを信じることができます。そこに思いがけない恵も用意さ 
れています。旅と責任と、これからも続きます。旅はまだ終わらな 
いのです。

上沼昌雄記
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