「聖書文盲の危機?」2014年6月26日(木)

 引退宣教師の妻の父の看病のためにロス郊外に来ています。近く 
にバイオラ大学・タルボット神学校があります。父が同窓生である 
ために、雑誌が届いています。コーヒーテーブルに置かれている最 
新号のタイトルに興味を覚えました。The Crisis of Biblical 
Illiteracy というものです。「聖書文盲の危機」と訳したらよいの 
かも知れません。「文盲」は差別用語なのでしょうか。

 要点は、聖書知識の欠如が、聖書を大切にしてきている福音派の 
なかでも著しく広がっているというものです。さもありなん、とい 
うのが直感的な反応です。それは周りの人のことで経験しているの 
ではなくて、自分のこととして納得できるからです。聖書を学び、 
聖書を教えてきても、それはある枠の中で捉えられた聖書の世界だ 
けで、それ以外の聖書の世界には注意を払わなくても、何とかやっ 
てこられたからです。その限界を感じてきただけではなくて、その 
ような枠をしっかり築き上げて、そのなかで聖書を読んでいれば、 
いずれ聖書を読まなくても、聖書を理解したことになるからです。

 またそのような枠を理解するために聖書を教えてきたならば、い 
ずれは聖書よりはその枠の方が大切になって、その枠をどれだけ理 
解しているかで信仰が計られることになります。そうなれば聖書の 
全体の流れを知ることは二の次になってしまいます。それだけでな 
く、その全体像は忘れられてしまい、自分の枠だけで納得できると 
ころだけ、あるいはそのような枠にとって意味のある仕方で、聖書 
を読んでしまうことになります。どんなに聖書的と標榜しても、 
偏った読み方をして来て、それが積み重なれば、聖書を読まなくて 
も聖書が分かったような気になります。

 旧約聖書は新約聖書に置き換えられ、さらに福音書のイエスの言 
説は、パウロの福音理解にまとめられているという、基本的に置換 
神学の影響を受けてきた中で信仰を持ち、神学を学んできました。 
さらに聖書学より、神学に関心を持って、長い間と組んできたこと 
で、それなりに学ぶことは多くあったのですが、結局はある方向を 
持った枠で聖書を読むことを可能にしてくれて、聖書全体という 
か、聖書の流れよりも、ある原則、ある理念で裏付けられた聖書理 
解を求めてきたことになります。

 それは、聖書の世界から聖書を読むのはなくて、聖書以外のギリ 
シャ哲学、プラトン的な枠で聖書を理解することから来ています。 
しかしよく考えてみれば、それは2千年のキリスト教が築き上 
げてきたものです。聖書全体の流れより、ある理念で聖書を読んで 
いくものです。特にキリストによって律法は終わっているので、旧 
約聖書の神の民の歩みは、反面教師的に教訓を得るためだけに理解 
されています。 読まなくても分かった気になります。神の背 
きの歴史と、神の真実の歴史は見えなくなってしまいます。

 いろいろな要素が絡まって、そんな分かった気になって理解して 
いた福音理解が、聖書と言うよりもプラトン的な二元論の影響を受 
けていることが分かってきて、もう一度聖書の流れから福音を理解 
していく作業を始めています。そうすると、創造から始まり新天新 
地に向かう神の全体の流れの中で、神の御子による福音の理解が新 
しい意味をもって届いてきます。その意味で単純に旧約聖書の流れ 
にはるかに注目しています。如何に聖書を無視してきたかを思い知 
らされています。

 単純に聖書を、特に旧約聖書を読むことで、今までない視点だけ 
でなく、今までにない疑問が湧いてきます。枠では捉えきれない世 
界が展開してきます。単純に聖書を読むこと、それは誰にでもでき 
ることです。そのための教育を積んできています。ただそのように 
思うのですが、この雑誌の方向は、どうも今までの枠の中で、詩篇 
の最初で言われているように、みことばをもっと口ずさむことを勧 
めています。さらにどのように聖書を読んだらよいのかというガイ 
ドブックを紹介しています。そんなガイドブックを読むよりは、聖 
書そのものを読んだらよいと叫びたくなります。聖書を思い巡らす 
ことも、その枠の中で終わってしまします。それよりは流れを追っ 
て聖書を読んだら、多くのものが見えてきます。

 聖書文盲は、今までの聖書理解の当然の結果です。その枠でさら 
に聖書を読みなさいといっても、もう分かっているという反応しか 
出てきません。聖書を創造から始まる神の一大ミッションとして読 
むことができれば、尽きることのない物語が展開していることに驚 
きます。その物語の一部として召されていることで、さらに聖書を 
読むことになります。尽きない作業に組み込まれます。

上沼昌雄記
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