「『戦後70年』の幕切れの前に」2015年12月28日(火)

 この年の初めは父の看病に追われていたのですが、息抜きのために映画「Unbroken」を妻と映画館に観に行ってきました。Unbrokenとは、「打ち破られなかった」という意味ですが、日本軍の捕虜であったルイス・ザンベリーニが、渡邊睦裕軍曹から繰り返しの虐待を受けるのですが、最後まで屈することなく終戦を迎えた実話に基づいたものです。2010年に出た同名の本では、帰国後後遺症に悩み、そのなかでビリー・グラハムのクルセードで信仰も持ち、渡邊睦裕を赦していくことが克明に記されています。

 本もベストセラーになり、映画もアメリカではヒットしました。ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジュリーが監督を務めました。日本での上映の可能性について、 その面での情報源を持っている友人に問い合わせたのですが、右翼などの反対で潰されそうだと言うことです。本の翻訳権は角川書店が有していますが、まだ出ていないようです。

 「戦後70年」は私自身の歩みでもあります。終戦5ヶ月前に生まれました。硫黄島の戦いが終局を迎えているときでした。故郷前橋は中島飛行機があったために空襲で丸焼けになりました。不思議に生き延びました。竹本邦昭牧師も同様に生き延びました。そして70歳を迎えて、戦争のことが日本人の精神にどのような影響を残しているのか関心を持ってきています。同じ意味では、ホロコーストがヨーロッパ精神にどのような影響を及ぼしているのか関心があります。

 今年一連の動きを終えて12月初めのある夜に家で妻とDVDでThe Great Raid(「大襲撃」)を観ました。フィリピンで日本軍に捕虜になっていたアメリカ兵1500人を急襲して救出する、これも実話に基づいた映画です。10年前に上映されています。すなわち戦後60年のことでしたが日本では上映されなかったようです。収容所での捕虜の虐待が描かれています。解説では、日本軍のもとでの捕虜の死亡率は37%であった言うことです。ホロコーストがあったのですがドイツ軍下では2%以下と言うことです。

 戦後70年を終えるに当たって、これら二つの映画が日本で上映されたらどのような反応が出てくるのだろうかと思わされています。その前に、反応がどうであっても、上映する姿勢があれば、それだけで大きな意味が出てくるように思います。戦時中のことを隠さないで少しでも直面することで初めて過去から解放されるからです。そうでないと過去が日本という土壌に深く染み込んだままで、そこから蒸気が湧き出て闇にまぐれて私たちの心に染み込んで押さえつけてくるからです。結局過去に縛り付けられたままです。

 時を同じくして、日本政府が慰安婦問題に関しての責任と賠償を認めて、韓国側とそれなりの最終解決を見たことが報じられています。当事者たちが最終的に満足することは決してないのですが、事実を認めて賠償の方向を見つけ出したことは、過去がなくなった訳でなく、過去を認めて次に進む手がかりを得たことになります。闇を闇として認めたことで光を得たのです。

 「戦後70年」の幕引きは、「戦後70年代」の幕開けとなることができます。教会はそのためにも日本の地に置かれています。神の教会が日本の地に置かれているのです。よその国のこと、よその人のことはどうでもいいのです。

上沼昌雄記





Masao Uenuma, Th.D.
muenuma@earthlink.net
masaouenuma@yahoo.co.jp
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