「『反知性主義』という本を読んで」2017年3月7日(火)

友人が一昨年、森本あんり著『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体』を読んでコメントをくださいました。それで昨年末に購入して持ってきました。旭川の友人がさらにこの本を読んで先週コメントをくれました。それで読んでみました。分かる面と、何か話の持っていき方がこれで良いのかと思わされました。

ただ昨年購入したときと現在アマゾンで見られるこの本の帯の文句が変わっていることが分かりました。今は「トランプ大統領を生み出したイデオロギーの根源」となっています。一面当たっていますが、この本の内容に関しては納得できない面もあります。

どの面かというと、知性主義と反知性主義の対比がこの本でそれほど明確でなく、むしろ入り交じった上で話が進んでいきます。多分地理的には、ヨーロッパとアメリカ東部が知性主義になるようです。それ以外の中西部と西部は反知性主義のようです。教会的には、いわゆる正統派が知性主義で、福音派が反知性主義になります。

話はキリスト教での反知性主義として信仰復興運動、リバイバルがその例として繰り返しだしてきます。それが地理的に東部でも受け入れられるようなことに著者も耐えられないかのようです。著者のアメリカでのキリスト教体験によっているようです。それは著者自身のアメリカの地理的体験にもよっているのでしょう。

それを感じたのは、4章で映画「リバー・ランズ・スルー・イット」をアメリカの反知性主義を知るために出してきたことです。リバイバル運動を起こした人たちの学歴やマナーのなさをその例として出して来るのですが、この映画のもとの本はシカゴ大学の英文学教授であった人が故郷のモンタナに帰ってきて書いた実話です。東部で勉強したとかの視点が繰り返されています。この映画はモンタナの自然の美しさに魅了されます。ブラッド・ピッドの出世作です。文句なしにお勧めします。それこそアメリカを知ることができます。

アメリカに移り住んで28年になります。カリフォルニアですので反知性主義の行き止まりになるのかも知れません。子どもたちが中西部に住むようになってアメリカ大陸を何度かドライブして体験することになりました。広大な自然のワイオミング州にはことばが出ないほどです。モンタナ州はその上にあり、一度通過したことがあります。アメリカはこの広大な大地を、政治的にも農業的にも工業的にも征服したのです。アメリカの力です。知性がなければできないことです。

思い出すことがあります。アメリカに移り住んで不思議なことに自分で小さな家を建てることになりました。経験は全くありませんでした。教えられ、また見よう見まねでしたが、筋道がしっかりあることが分かりました。早い時期に床下の配管をするのですが、そのためには出来上がったときの水回りを理解していなければなりません。知性がなければできないことでした。

そんなこともあって、読後感はすっきりしません。ただこの本はすでに1963年にでたリチャード・ホーフスタッターの『アメリカの反知性主義』を下にしているので、子どもたちも興味がありそうなので、回し読みして、再度考えたいと思います。ただこの日本語の本の新しい帯の文句は当たっている面がありますが、むしろ前回書いた「怠惰とナルシズム」のほうが当たっているように思います。どちらにしても考えさせられる状況なのです。避けられないのです。

上沼昌雄記

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