「『罪の律法』を見つめる『私』」2017年3月13日(月)

前々回『平気でうそをつく人たち』との関わりでローマ書7章に触れました。それをそのまま英訳して家族に送りました。取り上げているテーマが多すぎるのではと正直な反応をいただきました。それでポイントを整理してテーマも”Spiritual Laziness?”として英語関係の人に送りました。その英文の添削で妻がローマ書7章に関して質問をしてきて、さらに「罪の律法」がどのような流れで出てくるのか、千葉教授のローマ書研究に沿いながら探ることになりました。その流れを見ることで浮かび上がってくるものがあります。

7章の終わりにかけて「罪の律法」が出てくるときに、一つには「神の律法」との対比で、もう一つには「心(ヌース)の律法」と対比で語られています。さらに、24節の「惨め、私、人間」の三語で表現されている嘆きのあとに、最後の25節で「心では神の律法に仕え、肉では罪の律法に仕えている」と対比されています。

律法に関してこのような対比をさらに3章と次の8章で見ることができます。3章は22節で、イエス・キリストの信による神の義の啓示が明確されたあとに、ユダヤ人が頼りにしていた律法の誇りが取り除かれたと語るときに、どういう原理(律法)によってか問いかけ、「行いの原理(律法)によって」ではなく「信仰の原理(律法)」(27節)によってと対比されています。ここは現行訳の「原理」ではなく、あくまで「律法」と訳すことで流れを見ないといけないところです。8章の初めではでは7章を受けて、「いのちの御霊の原理(律法)が、罪と死の原理(律法)から、あなたを解放した」(2節)と対比が語られています。ここでも流れを捉えるために「原理」ではなく「律法」と訳すべきです。まとめると次のようになります。

信仰の律法 ―行いの律法 (3:27)
神の律法―罪の律法 (7:22, 23, 25)
心(ヌース)の律法―罪の律法 (7:23, 25)
いのちの御霊の律法―罪と死の律法 (8:2)

律法学者であったパウロにとって「律法」は一義的には「神の律法」であり、具体的にはモーセの律法です。しかしその「律法の行い」(3:28)では義とされないで、イエス・キリストの信による神の義を信じることでのみ義とされる、この基準に従って「律法」を見直し、提示し、論証していると言えます。「行い」や「業」でない内面化された意味での「信仰の律法」はそこから出てき、それに対応するように7章で「心(ヌース)の律法」が出てくるのでしょう。律法を行うことでは義とされない、それでも「内なる人としては、神の律法を喜んでいる」(22節)、それで「私の心の律法」(23節)となるのでしょう。

律法はどのようなことがあっても神のものであり、それは「聖なるもの」(12節)です。その時に、その聖なる律法が死をもたらしたのかという問いが出てきます。「絶対にそんなことはありません。」(13節)それを成し遂げたのは罪であると冷静に見ています。ここで一度罪と律法が区別されます。内なる人は明らかに神の律法を喜んでいる、しかし同時に罪が自分のうちに住んでいる、どこかと自問し、「私のからだの中に」「異なる律法」(23節)として住みついていると言うのです。それが死をもたらすのです。「ひとりの人によって罪が世界に入り、罪によって死が」(5:12)入ったのです。誰もが避けることのできない死です。それを支配しているのが「古い文字」(7:6)と結びついた「罪の律法」なのです。

「内なる人」としては「神の律法」を喜んでいて、同時に「肉では罪の律法に仕えている」この葛藤を導くために、パウロは「私・エゴ」を導き出したという千葉教授の興味深い表現があります。確かに「私・エゴ」は7章だけに登場して姿を消します。8章では聖霊が登場してきてそれは信じるものだれにでも当てはまるのです。そこでは「神の律法」は「いのちの御霊の律法」になり、「罪の律法」は「罪と死の律法」になります。

この葛藤が聖霊のとりなしの中でどのように取り扱われるか、まさに8章のテーマですが、ここでは7章に限って、「肉「において「罪と死の律法」に仕えている「私」は、アダム以来の「私」であって、千葉教授はそのために24節で「惨め、私、人間」の三語で、「私」と「人間」が対等に表現されていると言います。確かにそれは誰にでも当てはまることです。 パウロはそのような論法を展開しているのです。 当時のギリシャ哲学にも耐えうるものです。「死」は誰にでも当てはまるからです。

「古い文字」として機能する「罪の律法」を見つめる「私」は、パウロであり、私であり、生きている人すべであります。その「罪の律法」が自分の肉の中で働いていることを見つめる心のさらに底で、「いのちの御霊の律法」が働いているのを見つめることになるのです。

上沼昌雄記

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