「イースターを前に、この『肉』は」2017年4月11日(火)

イエスは受肉をしていたので死を確実に味わいました。そして復活によってその「肉」と「死」を乗り越えて「復活のからだ」を纏われました。「復活のからだ」は「霊(プネウマ)」と「からだ(ソーマ)」結びついて表現されています。ですから「からだ」を持っていたのですが閉じられた戸を通り過ごすことも、食べることもできました。実はイースターの前なのですが、その「復活のからだ」ではなく、生身のからだである「肉」について考えさせられています。

というのは、「神学者たちによって等しく『肉』が二義的な概念であると主張され、、、自然的な生物的な存在者と罪性を帯びた本性を持った存在者との両義的であると主張されてきた」ことに対して、千葉教授は「中立的な人間を支える生物的な構成要素」としてだけ「肉」を捉えているからです。それは意味論的分析の結果と言われます。

何ともチャレンジなのは「神学者たちによって等しく」と言われて、神学を囓ってきた者として、言われてみればどことなしに「肉」をそのように二義的に理解してきたし、説明をしてきたのは確かだと認めざるをえないからです。そう説明するほうが分かりやすいというか、受け入れやすい面もあるのも確かです。千葉教授は、それは「暗黙の神学的前提の密輸入」とまで言われます。それで考えさせられています。

その密輸入しやすい箇所を言語分析的に網羅した上で、イエスの受肉と贖罪の関わりで表現されているローマ書8:3の「罪の肉の似様性」 に触れています。 新改訳では「罪深い肉と同じようなかたちで」となっていてすでに神学的理解が密輸入されてしまっています。この8:3は、3:20の「業の律法に基づくすべての肉(新改訳「だれひとり」)」と同様に肉が理解されていて、「業の律法のもとには罪であることを逃れられない肉の 似様性」において神は御子を遣わしたと理解しています。現実にイエスの受肉の「肉」が初めから罪に汚れていることはないのです。ただ「肉の弱さ」(6:18)を抱えているのです。

この「肉」の中立性の具体的な表現がガラテヤ2:20と言います。大変微妙なギリシャ語の言い回しです。私はキリストとともに十字架につけられて。もはや私が生きているのではない。「今われ肉において生きているところを、われは、われを愛し、わがためにご自身を引き渡した神の子の信(信実)において、信(信仰)において生きている。」すなわち、「肉」において生きることが「信仰において」生きることを可能にしているのです。肉の中立性のゆえに「信仰において」生きることが出来るというのです。むしろ「信じること」の責任が問われることになります。「あなたの持っている信仰は、神の御前でそれを自分の信仰として保ちなさい。」(ローマ14:22)

「肉」を二義的に理解して、初めから罪性を帯びたものと捉えていくのは、ギリシャ的な霊肉二元論を初めから受け入れていることを意味しているためかも知れません。ですから、その罪深い肉の状態から解放されて天国に行くことが聖書の教える救いの理解と当然のように受け入れられてきた面があります。ギリシャ的な世界観を知らないうちに密輸入して、それが聖書的と言い張ってきたと言えます。

パウロは逆に、そのギリシャ的な世界観がすでにあの地中海で支配的であったなかで、創造の秩序において相対的自立性を持つものとして「肉」を捉えていたように思われます。肉はそれ自体としては自己保存をはかるのですが、その制約の下でなお「信仰において」生きることが出来るのです。当然信じないことも起こるのです。そのような人間の相対的な中立性を支えているというのです。

千葉教授はこの理解のもとに心身論(霊肉論)、すなわち、「霊」と「ヌース」としての「内なる人」と「肉」との複合的構成をさらに分析しています。「心」と「良心」もそこに含まれています。その「心」の深くに働く神の霊をローマ書8章の課題として展開しています。

この制約と弱さを持つ肉のからだから霊のからだへの移行を可能にしてくれるのがキリストの復活です。ただイースターを前に、この「肉」を中立的に捉えることは、罪理解と同時に人間理解の方向転換が求められるのだろうと思わされています。

上沼昌雄記

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中