「肉にあって信仰を」2017年9月27日(水)

「肉」のテーマに関して必ずレスポンスをくださる友人の牧師がおります。というか少し前に「ヌース」を取り上げたときにもレスポンスをくださり、その折に「肉」はどうなのでしょうと問いかけてくれたのです。ヌースは「心」とか「思い」「知性」と現行訳で表現されていますが、人間の内面でどこかで超感覚的なものにヒットする部位といえます。そのヌースをどこかに含んでいるのがこの肉です。ですからどちらも四六時中、しかも死ぬまで付き合っているあまりにも身近な存在といえるのか機能です。あまりにも身近で同時にどのように捉えたらよいのか惑わされるものです。しかし聖書はヌースのことも肉のことも結構語っています。
 この牧師とやりとりをしながら、一度息子さんの病のことを話してくださったのを思い出して、いかがですかと尋ねました。かなり詳しく返信してくれました。「全身赤くただれ汁が出て、裸で全身を掻きむしりながら、うめき苦しんでいました。文字通りヨブでした」という時があり、今でも回復の戦いの中で時にはこのような日々、また闇の夜を送られているようです。「夜中、手を挙げて、もう耐えられないから天に召してください、というような仕草もしていたようです。しかし、彼の口から、神への不信のことばはいっさい出ません」と記してくださいました。父親として息子さんが肉の病の戦いの中でどこかで「神と向き合っていた」時があったと認めています。
 この「肉」のことは、千葉教授がパウロの心身(霊肉)論として取り上げている論考を読みながら教えらていることです。綿密に筋立てを持って取り上げてくださっているので、今まで不明であったこの肉の意味合いで気づかされる面が多くあり、つまみ食いをするように取り上げています。そのつまみ食いの一つが、有名なガラテヤ書2章20節の千葉教授の意味論的分析です。神の前に置いては「私」はキリストともに死んでいるが、人としては「私」はなお「肉」にあって生きているのです。しかもその「肉」において「信仰」を持って生きていると言うのです。
 「肉おいて信仰を持つ」と言われ、確かにそうだ、肉を離れて信仰を持っているわけでないという当たり前のことに、何か慰められる思いをいただきました。肉の領域とは別に信仰の領域がどこかにあるような錯覚を持ってしまいがちなのですが、まさにこの肉において信仰をいただいているという、見方によっては当たり前のことなのですが、そうなのだと不思議に納得をいただきました。
 同時にやりとりをしている牧師の息子さんのことを思い出したのです。肉の試練にありながら、なお信仰を持って回復のための戦いを続けているのです。苦しみ激しさの故に、ヨブの奥さんのように神を呪って死んでしまえと思うこともあり得ることです。しかしこの息子さんはまさに苦しい肉において神を見上げ、待ち望む信仰を自分の生きる姿勢としています。それでいいのだという響きが届いてきます。肉は病を負い、死を迎える弱さを抱えているのですが、その肉において信仰を持っているのが響いてくるのです。
 なおその「信仰」のことをガラテヤ書2章20節は、とても微妙な言い方で大切なことを伝えています。直訳的には「神の御子の信実によって信仰に生きている」と言えそうです。私たちを愛して命を捨ててくださった神の御子のピスティスの故に、「私」も「信仰」によってこの「肉」にあって生きているというのです。単なる信仰の強さでも頑張りでもないのです。こちらの信仰の前にイエス・キリストの信実の歩みがあったのです。そのキリストと神の前にあってはすでに死んでいると認めるのです。その上でなお人としてはこの「肉」において「信仰」をいただいているのです。
 同時に「肉」をいただいている「私」としては、信じることも信じないことも自由なのですが、神のなされたことにおそらくこちらのヌースがヒットして、信仰が芽生えたのでしょう。そうであれば、肉としては弱さがあり、限界があり、病を負い、死を迎えることがあっても、この肉において信仰を持って生きることは、見方を変えれば、まさに恵みなのでしょう。肉だけであったらどこにも行けないからです。私たちには「御霊のからだ」に変えられる約束があるのです。
 それでもこの牧師の息子さんが少しでも回復されることを祈ります。この牧師のお父さんのように鋭い感性を持っている青年のようです。その感性と信仰が生かされる日が来ることを信じて祈るのみです。
上沼昌雄記
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