今回日本からの友人夫婦とダラスからの義弟夫婦と私たち夫婦の三組で、イエローストーン国立公園とグランドティートン国立公園の旅をすることができました。二つの国立公園ともロッキー山脈の一部で、ワイオミング州の北西に上下して対照的な姿で並んでいます。その広さは日本のいくつかの県を一緒にしたほどです。
イエローストーンは、地下数キロの所までマグマが迫っているために、熱水が各地で噴水していて、森林に囲まれていながら、活動的で異様な光景を観ることになります。それに対してその南に位置するグランドティートンは、雪をかぶった山並みと、その麓の大平原とそこをゆったりと流れるスネークリバーの静まりかえった美しさに魅了されます。
イエローストーンには渓谷もあります。両面が黄色になっているためにその名が付けられたようです。そこに落ちる滝は力にみなぎった威力で、私たちを圧倒します。その近くには泥を吹き出す火口もあり、地下からの響きも聞こえます。グランドティートンの麓の湖は、その山並みを湖面に逆さまに映し出し、幻想的な雰囲気になります。その湖の一つのジャニーレイクの脇の散歩道は、湖水を観ながらゆったりとした思いにしてくれます。
イエローストーンにいると、地下からの叫びが大きな空に吸収されているような気になります。また大きな空が地下深くまで届いているかのようです。時間通りに熱水を噴水するオールド・フェイスフルの間欠泉は、天と地が結び合っているかのようです。グランドティートンにいると、地が天に抱かれ、天がそれをゆったりと眺めているような気になります。「変貌山のチャペル」の礼拝堂の講壇の後ろの小さな窓に映し出されるグランドティートンの山並みを眺めていると、天からの声が聞こえてくるようです。
イエローストーンとグランドティートンの対照的な神の作品に接しながら、毎晩詩篇を日本語と英語で読んで、その日の印象と受けたインパクトを分かちあう時を持ちました。この三組の夫婦の合流自体不思議なことなのですが、イエローストーンとグランドティートンを造られた神の下では、そのことも初めから神の御手の中にあることと自然に受け入れることできます。
神が力を持って働かれるときは、あの大滝のような威力を持って事をなし、その反面ではあたかも何もなかったかのように静まりかえって、ただ湖水に写るようにその結果を眺めておられるかのようです。それはただ、神に組み込まれている私たちを眺めておられる神の二つの顔なのでしょう。
イエローストーン国立公園とグランドティートン国立公園がどのようなものなのか、実際にはよく分からないで出かけたのですが、旅を終えていろいろな場面を振り返る度に、この対照的な二つの自然が人間の現実をも語っているのだろうと思わされています。
上沼昌雄記